土地や分譲住宅の購入を検討しているあなた。必見です。
土地には思わぬ地盤リスクが潜んでいます。
リスクの高い土地に住んでしまうと、
- 後から思わぬお金がかかることがある
- 健康被害、ときには人命にかかわることがある
- 住宅の損傷、土地の資産価値を下げる恐れがある
のような事態に陥りかねません。
せっかく高いお金を払って、土地、マイホームを手に入れたのに、土台となる「地盤」に不安があっては心配ですよね。
この機会に地盤のリスクについて知っておきましょう。
あらかじめ知っておけば、安心ですよ。
本記事は、とくに次のような方に役立つでしょう。
- これから住居用の土地の購入を検討している方
- 分譲住宅の購入を検討されている方
- 新しい土地に住もうと検討されている方
2つの地盤リスク
最低限知っておくべき、地盤リスクとは次のとおり、主に2つだけです。
✅軟弱地盤のリスク
✅自然災害(とくに土砂災害)のリスク
では、それぞれみていきましょう。
軟弱地盤のリスク
地盤とは、地表からある深さまでの部分をいいます。そして軟弱地盤は、軟(やわ)らかい地盤のことです。
日本において、住むのに適した平野では軟弱地盤であることが多いので、それなりのリスクがあります。
どうして軟弱地盤が問題なの?
建物や工場などを軟らかい地盤に直接建設すると、その重みでゆっくり沈んでしまうことがあります。
そうすると、水道管が切断されたり、建物が損傷したり、傾いたりしてしまいます。
修正工事を行うにしても多額の費用が発生しますし、家が傾くと住んでいる人が正常な平衡バランスが失われ、吐き気などの健康被害につながることもあります。
軟弱地盤によって引き起こされた、家の沈下、傾きなどの事例はあとを絶ちません。
軟弱地盤かどうか調べるには?
実務的には、以下の3項目を総合的に判断して見極めます。
1.現地を観察する
現地およびその周辺で、沈下の兆候となる以下の点を確認します。近隣の状況は大いに参考となりますが、まれに自分の土地とは異なることもあるので要注意です。
・道路の地割れ、沈下 ・電柱の傾き ・周辺建物の異常(基礎、外壁のひび割れ 傾き) ・擁壁の沈下、損傷 など
2.資料を調べる
軟弱地盤となる地形、地質、計測データ等の資料から推察します。地域の地盤を大まかに調べるのに適しています。
地形分類図、表層地質図、国や地方公共団体等が提供する地盤データ など
3.現地で地盤調査を行う
機械を使って地盤の状態を現地で計測し、軟弱地盤かどうか判断します。
軟弱地盤かどうかの判断は?
「現地を観察する」ことは、個人の方でもできるでしょう。問題は「資料を調べる」、「現地で地盤調査を行う」ことでしょう。専門的な知識を持った方なら、判断することも可能でしょうが、一般の人には難しいと思います。
地盤調査会社に依頼すると、その土地が軟弱地盤なのかどうか、総合的に判断してくれます。おすすめです。
現地での地盤調査は必要か?
結論から言えば、「絶対に必要」です。現地で観察をしても、少し離れると地盤の状況が異なることがあるからです。資料を調べても、それは大まかな情報であって、「点」では異なることもあります。
また、施工業者がその土の掘削や「盛土」、「土の埋め戻し」をしたりして、地盤の状態が変わってしまい、もしかしたら軟弱地盤に準じた対策が、必要となるかもしれません。
家を建てる、建て替えて住むのであれば、現地での地盤調査は必ず行ってください。
地盤調査会社に依頼をすると、現地で機械を使って地盤調査を行い、軟弱地盤かどうか総合的に判断し、報告書を作ってくれます。費用は個人の方なら30,000円前後でやっていただけると思います。
地盤調査費用は目安です。場所や現地の状態などによって異なることがあります
調査した結果、軟弱地盤だったときの対策については別記事に改めて掲載します
地盤調査の現状と気をつけたいこと
機械を使った地盤調査は、リスク回避の観点から、ずいぶん普及しました。やっぱり自分の建物が壊れたり、傾いたりするのは嫌ですから。
地盤調査は必ず実施しましょう。
もし地盤調査を要らないという施工業者がいたら、疑ってみましょう。地盤調査をされたら困ることがあるに違いありません。
また、個人から直接、地盤調査会社に依頼することはまれで、そのため地盤調査会社はハウスメーカーや工務店の依頼で地盤調査をすることになります。そうすると、施主ではなく、ハウスメーカーや工務店の意向にそった調査になりやすいことがあります。
品質管理がしっかりしたハウスメーカー、工務店ならよいですが、大半は地盤の知識がないため、地盤調査会社に丸投げ状態です。
それならば、個人で依頼することも考えてみましょう。
※地盤調査の詳細、業界の裏話については、別記事で掲載予定です。
自然災害のリスク
土地にはもともと、自然災害が発生しやすい土地があります。
このような土地があることを、ぜひ知っておいてください。
自然災害とは?
近年、河川の氾濫による「洪水」、土石流、がけくずれ、地すべりなどの「土砂災害」が頻発しています。
これらを総称して自然災害といいます。災害が発生すると、その土地に住む人の命が危険にさらされてしまいます。
大切な家族の命、自分の命はいちばんに考えなくてはいけません。
自然災害が起こりやすい土地の特徴
自然災害が起こりやすい土地は、地形地質的特徴があります。ただ、一般の人が、地形地質的特徴を判断することは、ほとんどできませんので、代わりに次の点を確認してください。
自然災害が起こりやすい土地は・・・
・過去に同じ災害が発生した履歴を持つこと
・同じ場所で繰り返し災害が発生する傾向があること
災害が起こりやすい土地を避けることで、少なくとも生命を脅かすリスクがぐっと減るのです。インターネットで調べたい住所を検索すると、思わぬ過去の履歴が判明するかもしれません。
最近では、土地の災害リスクについてハザードマップが整備されつつあります。自分の土地について、どんな災害リスクがあるか、調べてみてください。
国土交通省ハザードマップポータルサイト
人為的二次災害
2014年(平成26年)8月に発生した広島豪雨を覚えていらっしゃるでしょうか。
この災害での死因は、ほとんどが土砂災害(土石流)によるものでした。
国土交通省の発表によると、土砂災害による人的被害としては過去30年間(当時)の日本で最多であり、1983年7月に島根県西部で87人が死亡・行方不明となった豪雨(昭和58年7月豪雨)による土砂災害以来、大きな人的被害となりました。
近年まれにみる死者数から、人為災害ではないかと、メディアが連日報道していました。なぜなら、もともと土砂災害が繰り返し発生していた地域に、土地を造成し、そこに住んだ方々が亡くなったからです。
これには、2つの問題があります。
・土地を造成した業者は、その土地が災害が発生しやすい場所とは知らなかった
・自治体はそんな土地の造成許可を出してしまった
つまり、業者も自治体も”危ない土地”に人を住まわせてしまったことが問題なのです。住んだ人たちは、夢のマイホームを建てた場所が、まさかそんな土地だったなんて知らなかったでしょう。
だから、みなさんは少なくとも、自分で調べてみて、土砂災害の危険がある土地を避けたほうが賢明です。
業者の視点を考えてみる
土地造成を行う業者は、土地を安く仕入れて、見た目を綺麗にして、そして土地を高く売る。これが基本的な考え方です。
土砂災害が発生しやすい土地は安いので、これを高く売れば利益がでる構造となります。でも施主(買主)の視点に立てば、「地盤の品質」としては最悪です。
広島の例で、本当に業者が危険な土地であると知らなかったとしても、施主(買い手)が知っていたならば、この土地に住むことはなかったでしょう。
ですから、災害リスクがある土地かどうか、ハザードマップ、土地の履歴をインターネットで簡単に調べることができるので、ぜひ活用してみてください。
なお、土地のリスクの詳細については、以下を参照してみてください。
まとめ
本記事をまとめます。
■まとめ
①地盤のリスクを知ることが大切
⇒なぜなら、健康や人命、思わぬ出費、資産価値の低下を防ぐことができるから
②地盤には主に2つのリスクがある
・軟弱地盤のリスク
・自然災害のリスク
③地盤リスクを自分で調べてみることも必要
多くの企業は、品質を重視していることは承知しています。しかし、なかには、「品質よりも利益」を重視する企業もあるのです。このことは絶対に忘れないでください。
このような企業を避けるためにも、微力ながら本記事を書かせていただきました。
私(筆者)も、業界にいたことがあったので、このことを掲載することは抵抗がありました。が、地盤のリスクについて多くの人に知ってもらうことで、幸せな人生を歩む人たちが増えると確信しています。
最後までご覧いただきありがとうございました。それでは。